四旬節を迎えて

2018年2月1日

泉雄生神父(2017~2020年 助任司祭)

今年は2月14日が「灰の水曜日」にあたり、この日から四旬節が始まります。

 さて、突然の質問ですが、四旬節が始まるのは灰の水曜日ですが、いつ終わるのか、皆さん(特にベテランの信者さん)はご存知でしょうか。聖週間が始まる「受難の主日(枝の主日)まで」とか「復活徹夜祭の直前まで」とか、いろいろな答えが聞こえてきそうです。

しかし正解は聖木曜日の夕方に行われる「主の晩さんの夕べのミサの前まで」ということになります(「典礼暦年と典礼暦に関する一般原則」28参照)。簡単に言えば、四旬節というのは、灰の水曜日に始まり、聖木曜日の夕方に終わってしまいます。この点、案外見落とされがちなので、敢えて確認してみました。

 ただ、四旬節の日数の数え方には注意が必要です。四旬節の「旬」は「十日間」を意味しますから、四旬節は「四十日間の季節(期間)」という意味になります。

しかし、四旬節が聖木曜日の夕方に終わるからといって、聖木曜日から遡って灰の水曜日までの日数を数えても40日にはなりません。実際に数えてみると44日になってしまいます。この点で注意が必要です。

まず、四旬節の40日間というのは、聖木曜日ではなく復活の主日から遡って40日間ということです。しかも復活の主日を含めたすべての主日は除かれます。ですから、今年は4月1日が復活の主日ですので、この日を入れずに、しかもすべての主日を除いて数えていくと、結果的に2月14日の灰の水曜日までが40日間となるはずです。実際に数えてみてください。

 ちなみに「復活の主日」の日付が毎年変わる(「移動主日・祝祭日」といいます)のは、復活の主日の決め方が「春分の日後の満月の直後の主日」と規定されているためです。

この規定は世界史でも有名なニカイア公会議(325年)で決められました。春分の日は毎年3月20日か21日ですが、満月になる日がその年によって大きく変動するので、復活の主日もまた毎年変化するわけです。

 さて、前置きが長くなりましたが、四旬節とはいったい何なのでしょうか。四旬節というのは、厳密にいえば「過越の神秘」を祝うための準備期間として定められています(『典礼憲章』109参照)。

過越の神秘というのは、具体的にはイエス様の受難・復活・昇天を意味しますが、その中でも特に十字架と復活こそが私たちの信仰の核心です。カトリックの教えは多岐に渡っていて、どれが核心なのかわからない人も多いかと思います。

しかし、「信仰で一番大切なのは何ですか」と人から問われたとき、「イエス様の十字架と復活です」とはっきり答える準備をすることから、私たちの福音宣教は始まります。

イエス様の十字架と復活の中に「神様はいつも共にいる」という救いを見いだすことこそ、キリスト信者の根本的な態度であり、この信仰の核心を確認するために、毎年私たちは四旬節を迎えるわけです。

 四旬節は洗礼の準備期間であると同時に、信者にとっては自分の信仰を記念する(確認する)期間です。せっかく神様から頂いたカトリックの信仰が、自分の人生にとって何の意味があるのか改めて問い直す時期でもあります。よい導きがあるよう聖霊の助けを願いましょう。

 最後に宣伝ですが、上に書いたようなカトリック信仰の基本的な事柄を「カトリック研究」(毎週金曜)と「カトリック入門講座」(毎週土曜)では扱うことにしていますので、合わせてご利用ください。

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