聖霊降臨の主日

2022年6月3日

福島一基神父

 聖霊降臨は教会の創立記念日でもあります。もちろん教会はイエスさまによって呼び集められた人の集団なので、福音書にもあるようにまずイエスさまが活動を始めたときにすでに存在しました。それでもペトロが最初にイエスさまに対する信仰を告白した時には、「あなたはペトロ。わたしはこの岩の上に教会を建てる」(マタイ16•18)と教会を創設することを予告しています。弟子たちはまだ「教会」と呼ばれるに値しないものだったのです。だからこそイエスさまの十字架の死と復活を体験し、聖霊を受け、自らで福音を告げ知らせ、キリストのように活動を開始した聖霊降臨の日こそ、弟子たちが「教会」として誕生した日とするのです。

 ご存じのとおりわたしたちを信じている神は、三位一体の神、父と子と聖霊です。神を説明することは簡単ではありませんが、何よりもイエスさまは父なる神を示すためにこの世においでくださいました。イエスさまは父なる神を実にシンプルに伝えてくださいましたが、聖霊についてはそのイエスさまの教えたすべてのことを思い起こさせてくれる弁護者であり慰め主であると教えています。確かに今わたしたちがイエスさまを知ろうとし、またその教えにそって行動しようとするのは聖霊が働いている証しでもあります。

 聖霊の働きはそのまま教会の活動や働きにもなりますが、その働きは教会という枠を飛び越えることもありえます。ちなみにわたし自身の召命こそ、仕事を理由にまったく教会に通わず祈りもしていない時に、キリストのキの字も出てこないところで始まったことなのです。勘違いではないかと何度も思い直しながら神学生時代を過ごし、司祭に叙階され、そして今もまだ続けていることすら、決定的な理由は聖霊の働きであるとしか言いようがありません。もちろん今この原稿を作成しながらも聖霊の働きを感じているところです。

 さて皆さんは聖霊の働きをどのように感じているでしょうか。困難の中で落ち込み、塞ぎ込む時に、いろいろな出来事を通していやしを与え、新たな気持ちにさせてくれた経験はありませんか。それこそ聖霊の働きです。聖霊降臨の主日に歌われる「聖霊の続唱」はそんな聖霊の働きを歌い上げています。聖霊は確かにわたしたちの弁護者であり慰め主です。「聖霊来たり給え、信者の心に満ち給え。主の愛熱の火を我らに燃えしめ給え。」古いお祈りの文言ですが、わたしたちも使徒たちの心を燃やした同じ霊に満たされ、信仰・希望・愛に生き、様々な困難を乗り越えていくことができますように。

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