コロナのクリスマス
コロナウイルス感染症が蔓延する中で今年のクリスマスを迎えます。緊急事態宣言や外出自粛などもありましたが、今までに経験したことのない時代の流れの中にあっても、時間だけは回り続けます。昨年のクリスマスに、二ヶ月後、このような状態になると誰が予想できたでしょうか。その一ヶ月前にはフランシスコ教皇が来日し、大変盛り上がりを見せていましたが、今年は感染防止対策を施した上での集まりとなります。そうなりますと、楽しみにしているクリスマスの聖歌を皆で歌うことはできません。わたしとしても一番ショックなことです。
クリスマスの聖歌は、有名すぎて信者ではなくても皆知っているものでしょう。町中でも「しずけき」や「あめのみつかいの」「もろびてこぞりて」「来たれともよ」「まきびと」などが流れています。子どもの頃は、それはうちの教会の歌なんだけどな、と得意げな気持ちになっていました。そして通常はつまらないと思っていたミサの中で、みんなが知っているクリスマス聖歌を大声で歌えることに喜びを感じていました。信者ではない方でも、このクリスマス聖歌を歌いたいがために、クリスマスにはミサにあずかる人もいると聞いています。それほど愛されているクリスマス聖歌です。それなのに。
コロナウイルス感染症は、飛沫、すなわちわたしたちが息をしたり話したりするときに発生する息や唾によって最も感染すると言われています。そして最も飛沫が出るのは歌うことなのです。そのようなわけで、現在もミサの中で聖歌を自粛しているところですが、クリスマスのミサにおいては悩ましいところです。オルガンの伴奏、もしくは聖歌隊だけの歌唱で収めるようにとのガイドラインが出てはいますが、年に一度のクリスマス、またそのミサで歌ってこそのクリスマス聖歌なのです。それでも優先すべきなのは人のいのちなのでしょう。残念ながら今年は心の中で口ずさむしかありません。
それでも希望を持ちたいと思います。救い主は必ずわたしたちのもとに来てくださいます。時代が流れ、また皆で心ゆくまでクリスマス聖歌を歌える日を、旧約の神の民が待ち焦がれていたように待ちましょう。コロナ禍でのクリスマスは、わたしたちに救い主の到来を強く待ち望むことを教えているのでしょう。寂しい暗闇に生まれた小さな光、幼子のイエスさまに照らされながら、飛沫を抑えながらも、よりいっそう心をこめて感謝と賛美をささげましょう。